FICTION

素のものFICTION自称若手ユニット

ほとんどがFICTIONの自称若手メンバーで構成され、といってもそこは「自称」ですので、実年齢はそう「若く」もないですし、「芸歴」と言う観点から考えても、それはもう「若手」とは言えない「歴」ではありますが、なんとなく勝手に「若手=勢いがある」とか「若手=責任とかないよね」とか「若手=楽なポジション」とか思っているからか、いまだに「若手」を名乗り続けているFICTIONメンバー数人によって立ち上げられました。

もう一度書きますが、若手といっても実年齢は決して若くないメンバーですので、おのおの、妻や子や病気なんかを抱えて生活しており、FICTION公演の合間にある「演劇」的には暇な、しかし、バイトやら派遣会社やら病院通いの「生活」的にはとても忙しい時間の合間をぬって公演をしており、いかに「生活」の時間を守りながら「演劇」が出来るのか、それも「おもしろい」演劇が出来るのか、を考えつつ、ていうかそこを一番考えつつ、活動をしております。

先程も書きましたが、「芸暦」という観点から考えても「若く」はない僕らですので、そこそこですが経験もしてきましたし、そこそこですが色んなものを見たり、そこそこですがいろんな人に会ったり見たりしてきました。で、やっぱり改めて思うのが、コレは決して卑屈とかそういうのじゃなくて、フツーに思うのですが、僕らには、「逸脱した何か」とか「傑出した何か」みたいなのはなくて、ま、平たく言えば「特別な才能」みたいなのはなくて。で、でも、やっぱり思うのは、そういう僕らが「おもしろい劇」をやることには意味がある気がしていて。だって、僕らに出来れば、それはもう絶対誰にでも出来るということで、「ちょっとしたやりかた」とか「ちょっとしたがんばり」なんかがあれば、絶対誰でも出来るよー、と胸を張っていえるわけで。で、そうなってくると、「特別な才能」とかそういうのは、「ま、あったらあったでいいよねー」くらいなもので、「なかったらなかったでもいいよねー。あったらあったで大変だしねー」とも思えてきて、ていうかもっと行くと、「中身も、ま、出来ればおもしろかったらいいよねー」みたいになってきて、そうなってくるとやっぱり「劇をやる」その事自体に意味がある気がしてきて。「演目」がおもしろくて「褒められる」ことももちろん大好きですので、そこへ向かって行ったりもするわけですが、それとは別に、そうやって考えたり、もめたり、泣いたり、笑ったり、辛かったり、楽しかったり、する事自体がやっぱり楽しいし意味がある。とか、そんな事を考えつつ、日々のバイトやら派遣会社やら病院通いの「生活」を送りつつ、ゆっくりまったりうっすら気まぐれに活動を続けています。
  • 素のものVol.3「経て」

    素のものVol.3「経て」

    2008/11 @アートスペースプロット
    作・演出 素のもの
    出演:大山 健/荻田 忠利/井上 唯我/竹内 裕介/柴 章生/佐久間 麻由

    第三回公演。「1回目の公演はさ、勢いとかでいけるじゃん?2回目もマグレが続いたともいえるじゃん?でもさでもさ、もし、もしー、今度の3回目も面白かったらー、『俺らって面白い』って言ってもいいよね?ネ?ね?」とか言いあって、新宿の喫茶店でのミーティングから始まる。チラシの締め切りを守らない荻田に「絶対にこの日まで!!!」と強く約束させ、この新宿の喫茶店でのミーティングに持ってこさせるも、「書きまくって、どれがいいかわからなくなった。後はみんなで選んで」と、100枚ほどの「チラシデザイン案」を持ってくる。当然、選びきれるわけもなくチラシの進行は遅れ、制作系担当の井上と荻田の不仲は決定的に。福島が子育てで欠場。その後のチラシ会議に「見学者」としてやってきていた佐久間がそのまま出演。
    始めは、「労働」とか、なんていうか、そういう自分らの、ていうかどこにでもある「生活」の一部を切り取りたくて、それぞれの「仕事」や「バイト」や「本当のこと」を切り取りつつ、ほんとにちょっとだけフィクション(作り物と言う意味で)もまぜつつ、「どこまでが本当(真実)でどこまでがフィクション(作り物)」か分からない、「どこまでが『劇』でどこまでが『劇じゃない』」のか分からなくしよーぜー、作った作品。初めての劇場「アートスペースプロット」での公演。小さいけれどとてもアットホームな劇場で、ていうか本当に2階建ての一軒家の1階が劇場で2階には劇場主のご夫婦が住んでいて、そのご夫婦もとてもいい人で、劇場に下見に行ったその日に「ここでやろう」と即決した劇場。
    初めて、一公演5回の公演数で、「ガラガラでも気にせずやろーぜー」と言っていたのに、全ての回が満員で、とてもとてもびっくりしましたし、今でも思い出してほくそ笑めます。ありがとうございます。

  • 素のものVol.2「夏の酢の物」

    素のものVol.2「夏の酢の物」

    2006/08 @銀座小劇場
    作・演出 素のもの
    出演:大山 健/荻田 忠利/福島 恵/井上 唯我/竹内 ゆうすけ/柴 章生

    第二回公演。当初、荻田が体調不良の為出演できるか分からず、出演予定者が大山・福島・井上・竹内の4人となり、第一回公演の半分に。あわてて、井上の派遣会社の友達、柴に声をかけ出演。結局荻田も体調回復し出演。チラシのデザインを荻田に一任するも締め切りを守らない荻田と制作系担当の井上は不仲に。
    第一回公演の反省を活かし、「『劇』っぽくなくやろーぜー」と、より『話のスジ』みたいなモノはなくなっていく。「売れないバンドのライブまでのリハーサル(稽古)の日々」の話。ほら、スジがない。でもこの頃から「劇っぽい」か「劇っぽくない」かは、僕らの中でとても大事になってきて、第一回公演時「うーん。なんかなー」となんとなくひっかかてたほとんどのことは「劇っぽい」ことだったと知る。

  • 素のものVol.1「じいさんは捨て子だから家系図行き止まり」

    素のものVol.1「じいさんは捨て子だから家系図行き止まり」

    2005/11 @銀座小劇場
    作・演出 素のもの
    出演:大山 健/荻田 忠利/福島 恵/井上 唯我/多田 明弘/大西 康雄/竹内 ゆうすけ/田上 香織

    第一回公演。今振り返ると、この公演が一番出演者が多かった。「初めて」ということでどれくらい稽古期間があればいいのかわからず、今までで一番長い稽古期間をとって、そのほとんどを「劇団名はどうするか?」「題名はどうするか?」に費やす。それまで「自分らで何かをやった」経験がなく「誰かの下」でやっていた癖が抜けず、「放っておくと誰も何も考えない」「きっと誰かが何かを考えてくるだろう」「誰か待ち」みたいなことになることにギリギリになって気づき、「来週までに1人最低でも5個、劇団名・題名を考えて、多数決できめよう」ということになり、「素のもの」という名前と題名が決まる。ちなみに、たしか「素のもの」という名前の前に「ストーンモンキー」(誰かが考えてきた『劇団ストーン』と『劇団猿』をくっつけた)という名前になりそうだったが、たまたま会ったFICTION制作子に「ストモンとか略されるのー?ダセー」と言われて、あわてて短めの略されなさそうな「素のもの」にした事を覚えている。
    公演は「売れてない役者らが映画の撮影の遠方ロケで相部屋になり、ちょっとだけ仲良くなって、ちょっとした冒険みたいなのがあって、別れていく」話。前半の「相部屋になり、ちょっとだけ仲良くなって」はとても面白かったが、後半の「ちょっとした冒険」みたいなモノは「劇」っぽくてつまらなかった。